Cyclist Welcome Japan

Platinum Lodging

国登録有形文化財の宿 落合楼村上


創業明治7年、山岡鉄舟が名付け親となり、田山花袋が、北原白秋が、そして川端康成が愛した、中伊豆は天城湯ヶ島を代表する温泉旅館、落合楼。
国の登録有形文化財でもあるこの歴史と風情に溢れた宿が、今、文人墨客と並び、我々サイクリストを大いに歓迎しているのをご存知だろうか。


落合楼村上は、伊豆半島の真ん中を流れる狩野川の起点、本谷川と猫越川とが「落ち合う」場所にある。
宿から眺める清流がまさにその目の前で「狩野川」と名前を変えるのだ。
敷地内の吊り橋から上流を眺めれば、すぐそばで二つの川が「落ち合う」様子が見てとれる。


この吊り橋を渡って向こう岸へ行ってみよう。


向こう岸の趣ある建物「渓流丁」では、すぐ目の前を流れる狩野川の渓流を眺め、水音に心を預けてゆったりと時を過ごしたい。時間帯によっては、バーナーの火で淹れるコーヒー(有料)をいただくこともできるというのだから嬉しい。ライドで疲れた身体を休めながらチェックインを待つのにも最適だ。


正面玄関のガラス戸を開けると、中は土間。土間の奥では、桔梗紋の飾り窓にかけられた面が、笑顔で客人を迎えている。
自転車は、この広い土間でラックにかけて保管することができる。
実は、この玄関棟も、国の登録有形文化財なのだ。


玄関に一歩足を踏み入れた瞬間から、そこはまるで別世界。
落合楼村上の魅力をより深く理解するには、毎朝10:00から行われている文化財見学ツアー(無料)に参加するのがよいだろう。
紫檀の巨木を床柱に用いた108畳の大広間、微妙な歪みが味わいのある手作りの窓硝子、精緻な組子細工、ダイニングルームの見事な蜘蛛の欄間などを含め、7つある国指定の登録有形文化財を、宿主自らが案内して巡るのだ。奥ゆかしさ故に気付きにくい、贅を尽くした素材へのこだわりや精巧な匠の技が、館内のあちこちに散りばめられていることがわかる。


落合楼村上では、そんな、登録有形文化財の建物内にある客室に、自らの自転車をそのまま持ち込み、室内に施された職人技の数々とともに愛でながら夜を過ごすことができるのだ。旅と自転車を愛するサイクリストにとって、こんなに嬉しいことはない。


この本館「松一」の間には、付書院の小障子に「富士山と干し網」の組子細工が施されている。金運や幸運を「すくいとる」という縁起柄だが、その造り方は秘法とされてきたため国内で作ることのできる職人はごくわずかだとか。


本館のみならず、数寄屋造の「眠雲亭」の各室にももちろん、自転車の持ち込みが可能だ。
こちらは緑美しい庭園を眺める眠雲亭の和洋室「浮舟」の間。左手奥の小障子や欄間には、菱形に組んだ組子の内部に更に細かい細工を施す匠の技が注がれているのが印象的だ。
この純和風な部屋にも、ロードバイクが意外なほどマッチしているから面白い。


意外といえば、この部屋のベッドルームも、純和風な居間とは一転したモダンな雰囲気に驚かされる。壁面に埋め込まれた美しいステンドグラスは、日本の西洋化の流れを見守ってきたこの宿の歴史を物語っているようだ。


伊豆の豊かな自然を満喫したライドの後は、伊豆の旅の大きな楽しみである温泉へ向かいたい。
ここは、その地名に「湯」が入るほど豊富な温泉で有名な天城湯ヶ島。しかも、その代表格ともいえる温泉旅館となれば、期待は高まり、自然と足早に。
まずは、天城の天狗も訪れたと言われる渓流沿いの露天風呂「天狗の湯」へ。
広々とした開放感の中、狩野川のせせらぎを聞きながら、やわらかな湯に浸かってリラックス。厳しいライドで痛めつけた身体も癒されていくのを感じる。
温泉は全て源泉かけ流し。泉質は無色透明のカルシウム・ナトリウム硫酸塩温泉で、疲労回復等の他、美肌・保湿によいという。


この露天風呂に直結して、湯けむりに包まれた洞窟風呂もあり、こちらはなんとも神秘的な雰囲気で楽しませてくれる。


落合楼村上の温泉は、内湯にも独特の風情がある。
「モダンタイル大浴場」の10人が同時に入れるほどゆったりとしたサイズの内風呂は、モザイクタイル張り。その内装ともあいまって、昭和初期のレトロモダンな世界に浸りながらの湯浴みが楽しめるのだ。


加えて、20人は入れるという広い貸切露天風呂まである。ライドの帰着時間に合わせて予約しておけば、他人の目を気にせずに、渓流沿いの広々とした露天風呂に思い切り身体を伸ばすことができるというわけだ。


身体は温泉できれいになった。では、汗にまみれたサイクルウェアはどうしたらよいか?
落合楼村上では、サイクリスト向けの特別なサービスとして、チェックイン後18:00迄に宿のスタッフに預ければ、汚れたサイクルウェアを洗濯、乾燥をしたうえで翌朝に部屋へ返すサービスを行っている。翌朝の早朝に使用を希望の場合には、洗濯・脱水までしたウェアをその日のうちに受け取り、部屋干しにすることもできる。いずれも無料だ。

夕食は、旬の素材を活かした月替わりの会席料理。先付からデザートまで計9〜10品目が、温かい物は温かく、冷たい物は冷たく、食べる人のペースに合わせて一品づつ出される。朝仕入の伊豆の地魚を用いたお造りは、もちろん、わさび農家から直接仕入れた天城産の本わさびで。


朝食も、宿での愉しみのひとつだ。日常ではあまりしっかりと朝食を食べない人でも、旅の宿では、不思議と朝から食欲旺盛になるもの。 定評ある落合楼村上の朝食は、季節の素材が竹籠の器に盛り付けられ、ボリュームもたっぷり。
普段ではなかなか味わえない熟練の職人が作る朝食を、ゆったりといただき、この後の伊豆半島ライドに備えてエネルギーチャージも万全だ。


また、落合楼村上では、「発酵玄米」と「麹食材」を組み合わせた、和食の原点とも呼べる健康食をランチで気軽に楽しめる、「一汁三菜ランチ」を提供している。宿泊客はもちろん、ランチのみでの利用も歓迎ということなので、中伊豆でサイクリングを楽しむ際のランチスポットとして、特に女性にはオススメだ。